圧雪 積み重ねの日々

ラニーニャ現象が今年も発生しているとの気象庁の発表は、新型コロナウイルス感染症の大打撃に苦しむスキー場運営会社には豊富な積雪を約束されたような、とは言え本当かな?という期待半分な気持ちであった。

11月下旬になってもこれといった降雪がなく、もう師走になろうかというタイミングで一気に1m近い降雪。
紅葉も終わり茶褐色になった斜面は一気に白い粉雪に覆われ、数日後に迫った営業開始に間に合いスキー場としては一安心なわけだが、その後は気温は上昇し、激しい雨も降り、積もった雪はどんどん萎んでいく。それでも圧雪クルーの整備もあり、21−22シーズンは12月4日にスタートをきることができた。

営業開始したは良いが、雪が降らない。北海道内はどこも似たような状況で、この時期になるとレーシングチームの練習が盛んになるが、そもそもいつも練習をしているスキー場に十分な積雪がないのでニセコモイワには多くのチームから問い合わせをいただいている。

天気予報によると週明け月曜日までまとまった降雪は期待ができないが、お客様が多ければそれだけ雪も削れ、祈っても雪が降るわけでもなく、残っている雪を滑りやすいゲレンデに整備することに最大限の力を注ぐしかない。

この春のようなコンディションに圧雪クルーは、出勤時間を急遽夜中から夕方に変更し、スキー場営業終了後に圧雪をかけることになった。

ゲレンデから人の姿が消え夕陽の最後の瞬きがアンヌプリのピークを照らす頃、エンジンを轟かせて2台のPistenbullyがニセコモイワスキーリゾートのゲレンデを縦横無尽に駆け巡る。

圧雪された雪は、氷点下になる夜中に水分が固まり朝にはビシッとしてくる。日中に気温が上がってもストップスノーになりにくいのはもちろん、雪が硬いほうが転んでも反発するので怪我のリスクが低いという統計もあるそうだ。

逆に圧雪のタイミングを間違えると、ジャガイモとも呼ばれる氷の塊が表面に現れ怪我のリスクを高める。

シーズンの初めに圧雪してミルフィーユのように雪の層を積み重ねて融けにくいスキー場の雪ができあがるが、しばらく雪が降らない時には一日のうち、どのタイミングで圧雪をするかが雪を残し、将来の降雪でゲレンデを活かすためにもとても大事になってくる。

当たり前なことを当たり前に行う。簡単なようで難しいことを12月から4月まで毎日積み上げるのが圧雪という仕事。改めて我が圧雪クルーの情熱を知った。

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